栄鉄鋼商事株式会社

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資源再生に取り組む職人
第10話 『炎の職人と巨大職人』 コンテナ編

今回は大物だ
産業廃棄物のリサイクルに取り組む職人の再生現場を取材し、その卓越した職人技をご紹介する「再生職人」コーナー。今回は今までにない大物が登場しました。
コンテナです。
コンテナにもいろいろありますが、今回の解体ターゲットは、お菓子などの製品加工用の牛乳を入れて運ぶためのコンテナです。
proimg10_01.jpg百聞は一見にしかず。写真をご覧ください。
大きいです。高さは大人の肩あたりまであります。周囲は両手を広げたぐらい。とても大きなコンテナです。
これをどう解体するのでしょうか。

今回の職人の道具は…
職人、なにやら長細い道具を取り出してきました。先端がL字型に曲がっていて、噴出し口のようになっています。反対側にはコードのようなものが伸びており、どこかに繋がっています。
proimg10_02.jpg職人、ライターを取り出し、道具の根元にあるつまみを捻ります。そして、ライターに火をつけ、道具の先端に近づけると……、ボッという音とともに炎が迸り始めるではありませんか。まるでジェット噴射のような勢いの炎です。
 
今回の職人の道具は、ガスバーナーだったのです。これでコンテナを解体するというのです。さて、どんな風に解体するのでしょうか。

解体開始
炎がゴーッと噴き出るバーナーを片手に、職人はコンテナに近づいていきます。
これで何をしようというのでしょうか。
ちなみに、コンテナの素材は鉄です。鉄だけであれば、バーナーを使う必要はないのでしょうが、その中にプラスチックの部品が含まれているのです。
proimg10_03.jpg頑丈な鉄のパネルの内側には、プラスチックの巨大ボトルが収まっています。おそらく一体整形なのでしょうが、それにしても大きい。これに牛乳がいっぱい詰まっていれば、飲み干すのに1年ぐらいかかりそうです。
そのプラスチックのボトルを抜き取らねばなりません。そのために、それを固定している鉄のフレームをバーナーで切断するというわけです。

職人がバーナーの炎をコンテナに近づけます。
すると、ものすごい火花が舞散ります。それはもう、ものすごい量です。
proimg10_04.jpg
写真ではこの迫力をお伝えできないのが残念です。実際にはこの数倍火花が飛び散っています。とても危険な作業ですが、職人は黙々と、しかし果敢に切断に挑戦します。当然ながら、職人たちは安全に十分注意をして作業を行っておられます。
外側のパネル部分と上部のフレーム部分の境目あたりにバーナーを当てると、少しずつ焼き切れていきます。それをゆっくりと、少しずつ移動しながら切断していくのです。危険で、根気のいる作業です。
ここで重要なのは、切断するポイントです。めくらめっぽう切断すればよいというものではありません。プラスチックへの影響がなく、しかも、鉄とプラスチックを分離するのに最も効率的な場所を吟味し切断しているのです。切断ポイントの選定が、職人の腕の見せ所なのです。

炎の職人、任務完了
根気よくバーナーの火をあてフレーム部分を焼き切りながら、職人はコンテナの周りをぐるりと一周しました。これで上部のフレーム部分はコンテナから分離したわけです。職人の地道な火花との格闘が、ようやく終息しました。

ちなみに、金属を溶接するとき鉄のマスクのようなものを顔面にあてながら行う光景をよく見かけますが、今回、職人はそれをつけておられません。実は、このマスクは溶接時に火花から出る紫外線から目を護るためにつけるものなのだそうです。てっきり火花が散って危ないからだと思っておりました。今回使用したバーナーからは紫外線が出ない燃料を使用しているため、マスクは必要ないので、マスクを付ける必要はないのだそうです。なるほど。

proimg10_05.jpgコンテナのフレーム部分が切断されました。
しかし、職人の目的はフレームを切断することではありません。あくまでも解体、すなわち、異なる素材を分離することにあるのです。このコンテナでいえば、鉄のフレームおよび外側のパネルと、中のプラスチックタンクを分離することです。フレームを切断したのは、中のタンクを取り出すための前準備にすぎないのです。

次にあらわれたのは…巨大職人!
さて、この巨大なコンテナの中にすっぽりとはまっている、これまた巨大なプラスチックタンクを、いったいどうやって分離するのでしょうか。とても人間の力では引き抜くことなどできそうもありません。

ガガガガガガガガ…

向こうから何かが地響きとともに近づいてきます。
あらわれたのは、大きな「手」を持った巨大な職人「ユンボ」でした。
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巨大職人の腕の先には、巨大なツメとも思える、マジックハンド状の「手」が伸びています。挟まれると痛そうです。
巨大職人は、そろそろとコンテナに近づいていきます。
おもむろにタンクの上部、直径50cmぐらいの注ぎ口にその巨大なツメを入れていきます。こんなに大きな腕とツメを微妙に動かし、ツメひとつが入るか入らないかという程度の小さな穴に差し込んでいきます。ちょうど私たちがペットボトルの口に指を一本そっと差し込んでいるような動きです。恐ろしく繊細な動きに思わず見入ってしまいました。
巨大なツメを小さな口にそっと差し込んだ巨大職人は、反対側のツメで口を挟み込み、注ぎ口をつかみました。そして、ゆっくりと持ち上げていったのです。巨大なコンテナは、苦もなく宙に浮かび上がりました。

すると…。
巨大職人は、コンテナを上下に振り始めたのです。

ガッコンガッコンガッコン…

コンテナはその揺さぶりに合わせ、ゆっさゆっさと激しく揺さぶられています。
凄い迫力です。

しばらく揺さぶっていると、中のタンクが少しずつコンテナからずり出てきました。ずり始めると後は簡単、あっという間にタンクがコンテナから抜け出るではありませんか。
解放されたコンテナはドンという音とともに地面に落下し、巨大職人の手にはプラスチックタンクがぶらぶらとぶらさがっています。あっという間の解体終了です。
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再生職人は命がけ
それにしてもすごい迫力でした。
近頃はCG(コンピュータ・グラフィックス)の発達で、迫力ある映像を簡単に見ることができるようになりました。しかし、今回のコンテナ解体の生の迫力に勝るものはありません。炎の職人が放つバーナーの火花や巨大職人のコンテナ揺さぶりなどの迫力は、映像ではとても味わえないものでした。

しかし、これらはとても危険な現場であるということを忘れてはなりません。火気の取り扱いや重機を使った解体は、大変な危険を伴います。
再生職人たちは、そんな危険な現場で、命がけで資源再生に取り組んでおられるのです。
リサイクルの処理過程においては、このような危険な処理ケースもあるということを、私たちは知るべきだと思います。
そして、危険な現場であるからこそ、職人たちには十分な安全を確保するための熟練が要求されるのです。
危険を顧みず資源再生に取り組む職人の姿に、感動するとともに感謝を忘れてはならないと感じた、今回の取材でした。

(第10話 終)