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第8話 『壁紙分離の達人技〈後編〉』 〜壁紙編 その3
第3工程「分離」
前工程で、壁紙の樹脂とパルプは一瞬にして離ればなれになりました。
最後の工程となる第3工程では、これらを別々に取り出すことです。第2工程である叩解は、このプラントの目玉であるとご紹介しましたが、この分離の工程は、とても根気の要る大変な作業です。
前工程で、樹脂とパルプはそれぞれ、微粉とファイバーの状態で別々に存在しています。これらを、比重の違いを利用して取り出すのが、この工程です。
分離その1「まいあげ」
樹脂とパルプでは、その比重が異なります。
すなわち、樹脂は重く、パルプは軽いです。この重さの違いを利用します。比重の軽いパルプを集めることによって、両者を分離していくのです。
叩解された壁紙の粉が次に向かうのは、細長い塔のような装置です。

この中では、空気を送り、叩解された粉を下から上へ舞い上げるようにかくはんします。まるでドラム式の乾燥機のようです。
ここでパルプは分離され、装置の外に集められます。集められたパルプはギュッと圧縮され、コンベアに乗って外に押し出されていきます。まるでところてんのようです。
ちなみに、パルプを圧縮するのは、輸送時の効率化を考えてのことだそうです。細かいところにまで配慮されたシステムですね。

これでほとんどのパルプは分離され、圧縮されて袋の中に集められました。
しかし、まだ完全に分離できてはいません。
残った少量のパルプと樹脂の粉は、また次の装置へと送られていきます。
分離その2「ふるい」
次に待っているのは、大きな四角い箱のような装置です。給食センターの蒸し器のようにも見えます。

この装置は、樹脂の大きさを分別するものです。
その仕組みは、簡単にいうと「ふるい」です。この箱が前後左右に振動し、樹脂をふるいにかけるのです。樹脂は0.3mm以下、0.3〜0.5mm、0.5〜1mmの大きさに分別されます。触ってみると、まるで小麦粉のような細かさです。
ふるいにかけられた樹脂は、その大きさごとに分別されて袋に集められ、前の装置で分離しきれなかったわずかなパルプが残ります。これも吸い取られ、大きなじょうごのような装置で別の袋に集められていきます。

これでようやく叩解したすべての壁紙を分離することができました。
今まで分離することのできなかった壁紙が、見事に別々の袋に分けられたのです。

こうして言葉で説明すると、ずいぶん長いストーリーになりますが、実際に装置にかけてしまうと、あっという間の工程です。
ともあれ、壁紙を構成していた樹脂とパルプは別々に分離され、それぞれの目的へと旅立っていくのでした。
**********
新しい再生になぜチャレンジするか
新しい再生にチャレンジする職人(今回はプラントですが)をご紹介しました。
今までリサイクルできなかったものをリサイクルするという試みは、多大なる試練の連続であったようです。そして、試行錯誤は現在も続いています。それは、このシステムが今までこの世になかったからです。
ないものを世に生み出す。
再生職人たちの飽くなき挑戦は、今まで埋め立てるしか方法のなかったクロス廃材を、再び材料へと再生することに成功しました。現在、日本でクロスをリサイクルしてくれるのは栄鉄鋼さんのみです。
新しい再生がもたらすメリット
新しい再生は私たちにどんなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。
クロス廃材を排出する業種の方々から見ますと、今まで廃棄するしかなかった廃材をリサイクルできるメリットは計り知れないように思います。
ま ず、企業内のリサイクル率に貢献することができます。企業内でのリサイクル率の向上が求められている昨今、ISOなどを取得されておられる企業にとってみ れば、リサイクル不可能な廃材が存在することは大きな負担であったことでしょう。今までリサイクル対象でなかった廃棄物がリサイクルに回せるわけですか ら、企業内のリサイクル率アップが期待できますね。
さらには経費の大幅削減につながります。
そして、何より、モノは捨てるよりリサイクルした方がよいに決まっているではありませんか。社会貢献などとゴタイソウなことは申しませんが、自分たちで生産したものはキチンとリサイクルする。それが現代の常識になりつつあります。
すべてのモノをリサイクルする。そのために、不可能を可能にする努力を怠らない。
再生職人はこれからも再生し続けます。
縁の下の力持ちである再生職人には、いつも頭が下がります。
(第8話・終)
第3工程「分離」
前工程で、壁紙の樹脂とパルプは一瞬にして離ればなれになりました。
最後の工程となる第3工程では、これらを別々に取り出すことです。第2工程である叩解は、このプラントの目玉であるとご紹介しましたが、この分離の工程は、とても根気の要る大変な作業です。
前工程で、樹脂とパルプはそれぞれ、微粉とファイバーの状態で別々に存在しています。これらを、比重の違いを利用して取り出すのが、この工程です。
分離その1「まいあげ」
樹脂とパルプでは、その比重が異なります。
すなわち、樹脂は重く、パルプは軽いです。この重さの違いを利用します。比重の軽いパルプを集めることによって、両者を分離していくのです。
叩解された壁紙の粉が次に向かうのは、細長い塔のような装置です。

この中では、空気を送り、叩解された粉を下から上へ舞い上げるようにかくはんします。まるでドラム式の乾燥機のようです。
ここでパルプは分離され、装置の外に集められます。集められたパルプはギュッと圧縮され、コンベアに乗って外に押し出されていきます。まるでところてんのようです。
ちなみに、パルプを圧縮するのは、輸送時の効率化を考えてのことだそうです。細かいところにまで配慮されたシステムですね。

これでほとんどのパルプは分離され、圧縮されて袋の中に集められました。
しかし、まだ完全に分離できてはいません。
残った少量のパルプと樹脂の粉は、また次の装置へと送られていきます。
分離その2「ふるい」
次に待っているのは、大きな四角い箱のような装置です。給食センターの蒸し器のようにも見えます。

この装置は、樹脂の大きさを分別するものです。
その仕組みは、簡単にいうと「ふるい」です。この箱が前後左右に振動し、樹脂をふるいにかけるのです。樹脂は0.3mm以下、0.3〜0.5mm、0.5〜1mmの大きさに分別されます。触ってみると、まるで小麦粉のような細かさです。
ふるいにかけられた樹脂は、その大きさごとに分別されて袋に集められ、前の装置で分離しきれなかったわずかなパルプが残ります。これも吸い取られ、大きなじょうごのような装置で別の袋に集められていきます。

これでようやく叩解したすべての壁紙を分離することができました。
今まで分離することのできなかった壁紙が、見事に別々の袋に分けられたのです。

こうして言葉で説明すると、ずいぶん長いストーリーになりますが、実際に装置にかけてしまうと、あっという間の工程です。
ともあれ、壁紙を構成していた樹脂とパルプは別々に分離され、それぞれの目的へと旅立っていくのでした。
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新しい再生になぜチャレンジするか
新しい再生にチャレンジする職人(今回はプラントですが)をご紹介しました。
今までリサイクルできなかったものをリサイクルするという試みは、多大なる試練の連続であったようです。そして、試行錯誤は現在も続いています。それは、このシステムが今までこの世になかったからです。
ないものを世に生み出す。
再生職人たちの飽くなき挑戦は、今まで埋め立てるしか方法のなかったクロス廃材を、再び材料へと再生することに成功しました。現在、日本でクロスをリサイクルしてくれるのは栄鉄鋼さんのみです。
新しい再生がもたらすメリット
新しい再生は私たちにどんなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。
クロス廃材を排出する業種の方々から見ますと、今まで廃棄するしかなかった廃材をリサイクルできるメリットは計り知れないように思います。
ま ず、企業内のリサイクル率に貢献することができます。企業内でのリサイクル率の向上が求められている昨今、ISOなどを取得されておられる企業にとってみ れば、リサイクル不可能な廃材が存在することは大きな負担であったことでしょう。今までリサイクル対象でなかった廃棄物がリサイクルに回せるわけですか ら、企業内のリサイクル率アップが期待できますね。
さらには経費の大幅削減につながります。
そして、何より、モノは捨てるよりリサイクルした方がよいに決まっているではありませんか。社会貢献などとゴタイソウなことは申しませんが、自分たちで生産したものはキチンとリサイクルする。それが現代の常識になりつつあります。
すべてのモノをリサイクルする。そのために、不可能を可能にする努力を怠らない。
再生職人はこれからも再生し続けます。
縁の下の力持ちである再生職人には、いつも頭が下がります。
(第8話・終)